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クリティカルシンキングは、ロジカルシンキングと並び、ビジネスパーソンも知っておきたい思考法だと言われます。
しかし、クリティカルシンキングとは何か?と聞かれると明確に答えられない方も多いのではないでしょうか?本記事では、以下について解説します。
- クリティカルシンキングの定義
- クリティカルシンキングが必要とされる理由やメリット・デメリット
- 日常での活用方法や鍛え方、例題やフレームワーク
- クリティカルシンキングを学べる書籍
ビジネスパーソンであれば押さえておきたい思考法ですので、ぜひご一読ください。
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クリティカルシンキングとは?
経営者
クリティカルシンキングとは、感情や主観を排し、客観的にものごとを分析する思考法です。クリティカルシンキングは、直訳すると「批判的な考え方」という意味です。
批判といっても、ネガティブに否定する考え方ではありません。
クリティカルシンキングにおける批判とは、「ものごと」について「本当にこれでよいのか」という視点で慎重に考察することを指します。
人格や意見を批判するでなく、前提が誤っていないかを考え、より正しい結論を導きます。
クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違い
クリティカルシンキングは、ロジカルシンキングと並べて語られますが、両者は思考法として大きく異なります。
ロジカルシンキングは、「ものごとを具体的に根拠立って結論づける」という思考法です。
たとえば、「演繹法」や「帰納法」はロジカルシンキングの代表です。与えられている条件に従って論理を組み立て、最適解を導き出します。
一方でクリティカルシンキングは、与えられている条件において、感情やバイアスによって論理が変化していないか客観的に考えます。
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クリティカルシンキングは、ラテラルシンキングと混同されることがありますが、厳密には両者は異なる考え方をします。ラテラルシンキングを直訳すると「水平な思考」という意味です。
ラテラルシンキングは、既存の概念や習慣に固執することなく、あらゆる角度からものごとを観察します。新しい観点からものごとを見つめることで、まったく新しいアイデアを見つけ出すことが可能です。
たとえば営業効率を高めるために営業のあり方についてヒアリングし、今までにない改善策を導き出すことは、ラテラルシンキングに該当します。
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【例題付】ラテラルシンキングとは?ロジカルシンキングとは違う革新的な思考法を解説3つの考え方は互いに補完関係にある
- ラテラルシンキング
- ロジカルシンキング
- クリティカルシンキング
上記3つの考え方は、互いに補完し合う関係にあります。
たとえば、ひとつのある課題があったとします。
ラテラルシンキングは、あらゆる角度からものごとを観察し、新しいアイデアを見つけることが可能です。続いてロジカルシンキングによって、そのアイデアが論理的に実現可能かを考えられます。
また、クリティカルシンキングにより、ロジカルシンキングで導き出されたアイデアの前提条件が間違っていないかを確かめることができます。
専門家
クリティカルシンキングはなぜ必要とされているのか
近年になってクリティカルシンキングの必要性が語られるようになりました。
なぜクリティカルシンキングが必要とされるのか、その理由は大きく分けて2つあります。
- 「VUCA」の時代の訪れ
- 知識と経験の価値暴落
VUCAの時代が訪れているから
VUCAの時代に突入していることは、クリティカルシンキングの必要性を高めます。
VUCAは、以下の言葉の頭文字を取ったものです。
- Volatilit:変動性(変動が激しく、今後の予想がむずかしい状態)
- Uncertainty:不確定性(これからについて不確定要素が多い状態)
- Complexity:複雑性(多くの要因が複雑により解決するのが困難な状態)
- Ambiguity:曖昧性(絶対的な解決策が見つからない状態)
つまりVUCAの時代とは、つまり「これまでの前提が、必ずしも通用しない環境」ということです。
よって、これまでの前提に縛られず本質を見極めるクリティカルシンキングが必要とされています。
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VUCAとは?その意味やVUCAの時代を企業やリーダーが生き抜くために大切なことを解説知識、経験の価値が暴落したから
クリティカルシンキングが必要とされる理由には、「知識や経験の価値が暴落した」という背景もあります。
かつてインターネットなどのネットワーク技術が未熟だった時代、知識に触れる機会は限られていました。「経験則」が貴重な時代だったのです。
しかし、近年ではネットワーク技術などの発展で、誰しもがネットひとつで莫大な知識に触れることができます。経験についても、WEBコンテンツなどで追体験できるようになりました。
つまり知識や経験の価値は、ひと昔前と比べて暴落しています。むしろ、眼下に広がる莫大な情報の中から、正しい情報を選択する、ものごとの本質を見極められるクリティカルシンキングが求められるようになったということです。
クリティカルシンキングのメリット
クリティカルシンキングには、以下のメリットがあります。
- 客観的な視点が身につく
- 思い込みが減る
- 説得力が増す
いずれもビジネスにおいて重要なメリットです。それぞれについてわかりやすく解説します。
客観的な視点が身につく
クリティカルシンキングにおける最大のメリットは「客観的な視点が身につくこと」です。
人間はものごとの本質を見極めるとき、どうしても主観的なフィルターを通して観察してしまいます。
そのため、破綻した論理や間違った解決方法に辿り着くこともあります。
しかしクリティカルシンキングでは、常に疑問を持ってものごとや論理的な問題点がないかを疑い続けます。
たとえば「新事業はうまくいく」というテーマがあったとします。
するとクリティカルシンキングでは「見落としているリスクはないか」「集客方法がファジーではないか」などと、疑うことが可能です。
この繰り返しにより、余計な主観を排し客観的な視点を持てるようになります。
思い込みが減る
クリティカルシンキングにより、「思い込み」を減らすことができます。
思い込みを減らすことで、正しい認識が得られ、次の行動に活かされます。
たとえば、「自分は管理職に向いていない」という認識があったとします。その理由は「部下を叱れない」と結論づけたとしましょう。
ここでクリティカルシンキングを用いると以下のような疑問が出てくるはずです。
- 本当に部下を叱れない人間は、管理職になれないのか?
- 叱らないことが強みになるのではないか?
- そもそも部下を叱る必要はあるのか?
すると「部下を叱れないから管理職に向いていない」ということが、単なる思い込みであることに気付けるかもしれません。
説得力が増す
クリティカルシンキングで、説得力を強化することも可能です。クリティカルシンキングでは、ものごとの本質をより正確に見極められ、その理由も理路整然とします。
たとえば上司に対して「新しい設備導入が必要」であることを伝えるケースを考えましょう。
クリティカルシンキングを用いて考えると「本当に新しい設備が必要なのか」「自部署で新しい設備を使いこなせる」かを検討することになります。
それでも必要だという結論を出すことができれば、その結論にはクリティカルシンキングで考えた否定的な要素が既に案出しされているため、上司を説得するための材料は充分に出揃っていることでしょう。
クリティカルシンキングのデメリット:前提を壊してしまう
クリティカルシンキングでは、メリットばかりが注目されがちです。
しかしクリティカルシンキングには、使い方を間違えれば「前提を壊してしまう」というデメリットもあります。
たとえば「コールセンターの業務効率を上げるため、オペレーターの教育方針が有効だという前提で、具体的な方針について検討する」議題があったとします。
つまり教育方針をこれから考える段階で、その際に必要なのはロジカルシンキングです。
しかしこの段階において、「教育方針は本当に有効なのか?」とクリティカルシンキングすると、議題が大きくずれてしまいます。
したがって、既に議論をし尽くして納得している問いにクリティカルシンキングをするのは非効率になることがあります。
クリティカルシンキングは日常で活用できるのか
クリティカルシンキングは、日常でも活用することができます。
例えば、以下のケースでクリティカルシンキングを利用することができるでしょう。
- 自分の将来を見つめ直すときに役立つ
- 多くの情報を整理して扱えるようになる
それぞれわかりやすく解説します。
自分の将来を見つめ直すときに役立つ
クリティカルシンキングを用いれば、自分の将来を見つめ直し、より確かな道筋を見出せます。たとえば転職の是非を考えているなら、クリティカルシンキングでは、以下を考察できます。
- 本当にこの会社を辞めて、転職してもよいのだろうか?
- 転職先でも、同じような不満を感じるのではないか?
- 本当に転職先を見つけられるだろうか?
- 転職せず、今の会社で満足する働き方が実現できないか?
- 今の会社に対する不満から、転職することのメリットを過大に評価していないか?
このようにクリティカルシンキングは、特に将来のことを考えるうえで役立ちます。
多くの情報を整理して扱えるようになる
ものごとの本質を見極めるには、さまざまな情報を分析することが重要です。
クリティカルシンキングで、批判的に「それは本当に正しいことか」を何度も問いかけていくと、必ず根拠となる情報が必要です。
したがって、クリティカルシンキングを続けることで、情報を整理することが可能です。
クリティカルシンキングのテスト問題
クリティカルシンキングを理解するには、実際の問題に触れることが重要です。
下記のようなテスト問題で、クリティカルシンキングについて学びましょう。
「閉店の危機にあるショッピングモール」
そのショッピングモールは、経営不振により閉店の危機に瀕しています。
閉店の危機を迎えた理由(前提)は、以下のとおりだと分析されました。
- 立地が悪い
- 近辺に競合するショッピングモールがある
- 顧客にとって魅力的なテナントが集まらない
しかしこの前提は、本当に正しいのでしょうか?
立地が悪いのではなく、駐車場の数が少ないのではないでしょうか?
近辺に競合するショッピングモールに打ち勝つ方法はひとつもないのでしょうか?
顧客にとって魅力的なテナントとは、そもそも何なのでしょうか?
「昼休みにアイスを食べてはいけない」
あるオフィスで一人の新入社員が、昼休みに全員の目の前で大きなアイスを食べ始めました。
それ見た上司は、「昼休みにアイスなど食べるな、社会人として失格だ。社員の士気も下がる。だがケーキはよい」と注意します。
上司の主張は、以下の前提によって成り立っています。
- 昼休みにアイスを食べると社員の士気が下がる
- 昼休みにアイスを食べると社会人として失格になる
- よって、昼休みにアイスを食べてはいけない
- しかしケーキは食べてよい
しかし、この前提は本当に正しいのでしょうか?
本当に士気は下がるのでしょうか?
社会人として失格なら、そもそも社会人の資格とはなんでしょうか?
ケーキなら士気や資格は失われないのでしょうか?
上記のような問題がクリティカルシンキングを学ぶ際に引用されます。
前提を疑う重要性がおわかりいただけたのではないでしょうか。
クリティカルシンキングの鍛え方
クリティカルシンキングは、短期間では身につきません。
しかし継続的に訓練すれば、鍛えることができます。
知識のインプットをする
クリティカルシンキングは、多様な知識によって支えられています。
より良いクリティカルシンキングの実施には、知識のインプットが欠かせません。
多くの知識があれば、より多くの観点から、ものごとを観察できます。
たとえば「世界各国は、大麻を合法化すべきか」というテーマについて、「大麻の依存性は煙草に劣る」という知識があれば、新しい観点からクリティカルシンキングすることが可能です。
自身がクリティカルシンキングの対象にしそうなものごとの知識は、普段から積極的に集めておくことを推奨します。
具体的な説明を心がける
クリティカルシンキングでは、具体的な説明を心がけることがよい練習となります。
そしてクリティカルシンキングでは「ものごとを具体的に理解すること」が重要です。
普段の説明において、以下のようなことを心がけましょう。
- 主語や述語を省略しない
- 数字やデータなど、定量的な情報を用いる
- 「それ」「あれ」などの指示代名詞を使わない
- 相手が理解しやすい例え話を入れる
- 真偽不明の情報を、真実のように話さない
具体的な説明を繰り返すことで、クリティカルシンキングの素養を身につけることができます。
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クリティカルシンキングを身につけるなら、まず前提を疑うことが大切です。
あらゆるものごとは、曖昧な前提によって成り立っています。
しかしその前提が本当に正しいとは限りません。
例えば「幽霊なんていないから、怖がる必要はない」という主張があったとします。
しかしあらゆる事象について「存在しない」ことを証明するのは、誰にもできないですし、「幽霊なんていない」という主張は不適切かもしれません。
つまり「幽霊がいる可能性はある」のだから、前提に反して怖がる必要があるかもしれません。一見筋道が立っている前提を疑い、「本当に正しいのかどうか」を考えましょう。
クリティカルシンキングのフレームワーク
クリティカルシンキングをより深く理解するには、フレームワークも有用です。
3つの疑問を投げかける
クリティカルシンキングでは、あらゆる観点からものごとを疑い続けます。
クリティカルシンキングで基本となる疑問の投げかけは以下3つです。
- Why So?(なぜ?)
- Ture?(本当に?)
- So What?(つまり、どういうこと)
Why So?
「Why So?」は、「なぜそう言えるのか」を問いかけます。
前提が正しいのなら、なぜそう言えるのか、根拠が見えるはずです。
たとえば「営業はとにかく脚を使うのが大事だ」という主張に対して、「Why So?」を投げかけます。その返答が、「営業件数を稼げるからだ」としましょう。
だとすれば「数だけで言うならインサイドセールスのほうが効率的ではないか」といったクリティカルシンキングが生まれます。このように「Why So?」で根拠の有無を確かめ、より確かな結論を見出すことが可能です。
Ture?
「Ture?」は、「本当なのか?」を問いかけることです。
ある前提について、真偽を確かめます。
たとえば「新型コロナウイルスが感染拡大している。政府の対応が悪かったからだ」という議題について、「本当に政府の対応が悪かったからなのか?」という「Ture?」が投げかけられます。
すると、「政府の対応ではなく、国民が自粛を徹底しなかったからではないか?」というクリティカルシンキングが生まれます。
このように「Ture?」を投げかけることで、クリティカルシンキングが深まります。
So What?
「So What?」は、「つまり、どういうこと?」を問いかけます。問いかけることで、その根拠から何を主張できるのか知ることが可能です。
たとえば「スマートフォン市場は拡大傾向にある」という前提があったとします。
そこに「So What?」を投げかければ、「自社も市場に進出すべきだ」というクリティカルシンキングが見えてきます。
MECEを活用する
MECEとは、以下の単語の頭文字を取ったものです。
- Mutually(互いに)
- Exclusive(重複なく)
- Collectively(全体に)
- Exhaustive(漏れなく)
一般的な意味では、「漏れがない、ダブリがない」状態を指します。
クリティカルシンキングでは「批判や検討が、思考が、必要な範囲すべてにおいて尽くされた状態」と考えましょう。
クリティカルシンキングが終わったあと、結論がMECEを満たしているかを確認します。
すると「重複」や「思考が足りていない部分」がないか確認することができます。
クリティカルシンキングが学べる本
近年では、クリティカルシンキングについて学べる本も多数出版されています。なかでも下記の本は、クリティカルシンキングを学ぶうえで役立ちます。
- Fact Fullness
- グロービスMBAクリティカル・シンキング (グロービスMBAシリーズ)
それぞれわかりやすく解説します。
Fact Fullness
Fact Fullnessは「思い込みを乗り越えて本質を見極める習慣」について書かれています。
同書ではクリティカルシンキングで欠かせない「主観の排除方法」を学ぶことができます。
気づかぬうちに歪んで物事をみてしまう事を同書では「Fact Fullness」と表現していますが、歪んだ思考を否定的に捉えるファクトフルネスは、一種のクリティカルシンキングといえます。
グロービスMBAクリティカル・シンキング (グロービスMBAシリーズ)
同書は、グロービス経営大学院の教科書を参考に編集された書籍です。
クリティカルシンキングにおける基礎知識を学ぶ入門書として、幅広く普及しています。
クリティカルシンキングの演習や活用事例も記載されており、フレームワークを用いて体系的にクリティカルシンキングを学ぶことができます。
まとめ
ビジネスシーンに限らず、私たちはあらゆる場面で、ものごとを「思い込み」や「主観」あるいは「誤った前提」を通じて観察しています。
しかし、そういった「フィルター」を通じて観察していては、本質を見極められません。
クリティカルシンキングはまさにそういった「フィルター」を排し、ものごとの本質を見極める思考法です。
クリティカルシンキングでは、ものごとを客観的に観察して慎重な検討を重ね、解決方法を導き出します。
ぜひクリティカルシンキングを試し、ビジネスシーンに活用する方法を見つけましょう。
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