突然ですが、このようなことを感じてはいませんか?
- 「プッシュ型・プル型の営業ってどう違うの?」
- 「それぞれのメリット・デメリットは?」
- 「具体的にはどのような手法があるの?」
事業活動において営業をすることは利益を伸ばすために不可欠です。
そんな営業を行ううえで理解しておきたい戦略が「プッシュ型」と「プル型」の2つです。これらを的確に使い分けていくことで効果的な営業ができるようになります。
本記事では、プッシュ戦略とプル戦略の基本的な知識から、それぞれのメリット・デメリット、活用するポイントなどを解説していきます。
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プッシュ型とプル型の違いとは?
ビジネスにおいて営業やマーケティング、情報共有の方法には「プッシュ型」と「プル型」が存在します。または「プッシュ戦略」や「プル戦略」と呼ばれることもあります。
営業やマーケティングにおけるプッシュ型は、企業が顧客に向けて積極的に営業をかけるアプローチを指しています。こちら側から押すイメージから「押す」という意味の「Push」が名前に使われています。
一方でプル型は、ホームページやSNSで情報発信することで、顧客から接触してくるのを待つ戦略です。こちらは、顧客を引き出すイメージから「引く」という意味の「Pull」が名前に使われています。
言い換えるならプッシュ型は「自社が主体となって能動的に動くアプローチ」で、プル型は「顧客が主体となり自社は受動的に待つアプローチ」と言えるでしょう。
情報共有におけるプッシュ戦略とプル戦略
プル戦略やプッシュ戦略は営業やマーケティングだけではなく、情報共有の手法にも用いられます。
簡単に言えば、情報を求めている人に情報を送るのがプッシュとなり、情報を求めている人が自ら情報を取りに行くのがプルとなります。
例えば、何らかの災害が起こったとして、自分の状態を家族や友人に電話やメールで伝えることはプッシュ型の情報共有です。しかし、災害が起こったときは回線が混み合い、連絡を取ることが難しくなります。
この際に「災害伝言ダイヤル」やネットの掲示板などに書き込むことで、自分の状態を知らせることが可能です。
この情報を、家族や友人が見たり聞いたりすることがプル型の情報共有です。
このように、情報共有の手法としては両方ともよく用いられています。
ですが、プル型で共有するべき情報をプッシュ型で共有してしまったり、その逆の使い方をしてしまうなど、この2つを適切に使い分けなければ、効果的な情報共有はできません。
したがって、社内においても「何をプッシュするべきか?」「この情報はプルで共有するべきか?」と検討・選択し、適切な情報共有をすることが重要です。
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上記で営業やマーケティングの手法にプッシュ型とプル型があることを解説しましたが、近年では主にプル型の手法が注目されています。プル型が注目されている背景には下記のような変化があります。
- スマホやインターネットが広まり、消費者の購買方法が変化した
- 営業を始めてから契約や購入までの期間を短くすることが企業の課題となった
インターネットやスマホが普及したことで、消費者は知りたい情報に手軽にアクセスできるようになりました。このような変化により、一般的な消費者のみならず企業の購買プロセスも大きく変化しているのです。
まず、なにか商品やサービスを購入する場合でも、営業を経由することなくオンライン上で購入することができるようになり、簡単に買えるようになりました。
そしてもう一つの変化は、コンタクトポイントの増加です。従来であれば、企業と消費者の接点は新聞広告やテレビCMなどの企業が出すプッシュ型の広告や営業だけでした。
しかし、現代においてはSNSや公式サイト、スマホのアプリなど接点が何倍にも増えています。
このような変化により、企業は効果的なプル型の営業や広告でアプローチができなくなくなりました。したがって、近年ではプル型のアプローチが注目されているのです。
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ここではプッシュ型とプル型のアプローチの特徴について見ていきましょう。
プッシュ型の特徴
プッシュ型の営業やマーケティングの特徴を一言で表すなら「企業が主体のアプローチ」となるでしょう。具体的なプッシュ型のアプローチには下記のようなものがあります。
- 商談会の際に行う営業
- キャッチセールス
- 訪問営業
- ダイレクトメール
- 電話営業
このように、プッシュ型のアプローチでは一歩間違えると、顧客に嫌われたり忌避されかねず、企業の印象が悪くなる危険性があります。
さらに、このような役割を担うのは現場の従業員であるため、かかるストレスが大きくなり、メンタルや身体の不調につながることもあるでしょう。
とはいえ、プッシュ型のアプローチが必ずしも悪いというわけではなく、自社のサービスや製品を本当に求めている顧客に対しては、プッシュ戦略が効果的です。
つまりプッシュ型のアプローチは、自社の製品やサービスの特性と顧客層を意識して行う必要があるでしょう。
プル型の特徴
一方で、プル型のアプローチを一言で表すとすれば「顧客中心のアプローチ」となるでしょう。具体的なプル型の施策としては下記のようなものがあります。
- 店舗をだす
- 展示会に出展する
- SNSの運用
- 企業の公式サイト
プッシュ型とは異なりプル型は、自ら顧客に営業をかけるのではなく、顧客からの接触を待ち続けるスタイルのアプローチです。
とはいえ、お店を出したりサイトを作れば顧客が押し寄せてくるわけではありません。むしろ、何もしなければ誰も来ないでしょう。したがって、顧客が気になるような方法で情報発信を続けなければなりません。
自社製品やサービスを知ってもらうための情報発信が必要ですが、注意しておきたいのがテレビやラジオ、新聞などのメディアに広告を出すのはプル型のアプローチではないということです。
プル型において重要な点は、どのようなケースにおいても「顧客主体」になっている点です。顧客が商品やサービスを知る「きっかけ」も、顧客が積極的に動いた結果でなければなりません。
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ここまでプッシュ型とプル型の特徴について見てきましたが、もちろんそれぞれにメリットがあります。したがって、両者のメリットを把握して自社に最適な手法を選択しましょう。
プッシュ型のメリット
プッシュ型アプローチの最も大きなメリットは、自社がアプローチをかける顧客を選択できる点です。
一般的にサービスや製品をつくるときは、顧客ターゲットを明確にしたりビジョンを決めます。
したがって、アプローチをする相手が初めに設定したターゲットと合致していれば、話を聞いてくれたり購入してくれる顧客を見つけやすくなるでしょう。
アプローチした相手が自社のことを知らなかったとしても、相手の需要を満たす製品やサービスを魅力的に提案することで、潜在的な顧客を得られる可能性もあります。
また、他にも下記のようなメリットがあります。
- 顧客一人あたりのコストが低い
- 製品やサービスの認知度を高められる
プル型のメリット
一方で、プル型のメリットには下記のようなものがあります。
- アポイントメントや商談化率の向上
- クレームを減らせる
- 長期的な取引ができる
それでは1つずつ解説していきます。
アポイントメント獲得率や商談化率の向上
プル型のアプローチでは、自社製品やサービスについて広く情報発信して顧客の需要を取り込んでいくので、プル型で得られる見込み顧客は、既に自社製品やサービスが気になっている人になります。
したがってプッシュ型のアプローチと比べると、アポイントメントの獲得がしやすく商談化率も高いというメリットがあります。これにより、営業効率が良くなるでしょう。
クレームを減らせる
プッシュ型のアプローチでは、自社製品に興味がない顧客にも営業をかけるので、相手が自社製品を求めていないケースも多いです。
したがって、相手から「しつこい」「めんどくさい」と感じられることがあり、クレームに発展するリスクもあります。
一方でプル型では、自社製品を知っていて気になっている顧客からの問い合わせが基本となるため、そのようなクレームを減らすことが可能です。
長期的な取引ができる
プッシュ型の営業スタイルでガンガン売り込まれることが苦手な人は少なくありません。無理に営業をかけてしまうことで、相手が不信感を抱く可能性があります。
しかし、プル型のアプローチであれば売り込みをする必要がないため、相手から信頼されやすくなるでしょう。これにより、信頼関係を構築して長期的な取引に発展する可能性が高くなります。
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プッシュ型にもプル型にもさまざまなメリットがありますが、その一方でデメリットもあるため確認していきましょう。
プッシュ型のデメリット
プッシュ型アプローチによるデメリットは、相手から忌避されやすいということです。
基本的には営業をかける際は、自社製品・サービスに興味がありそうな顧客を相手にしますが、あまり厳密にターゲットの選定をしないため、どうしてもニーズと合致しないケースも出てきます。
この結果、相手からすれば「要らないものを売りつけようとしてくる企業」と捉えられることがあり、忌避されやすいのです。
実際、プッシュ型の営業では営業マンが何百件と営業をかけても、アポをとれるのは10件以下ということは少なくありません。これにより、営業マンのメンタルに不調をきたすリスクがあります。
プル型のデメリット
プル型アプローチのデメリットを確認していきましょう。
成約まで長引く
プル型のアプローチでは、「ちょっと気になる」「話だけ聞いてみよう」というようなライトな顧客も多いため、その時点から成約までの時間が長引くことがあります。
アプローチする顧客を選べない
プッシュ型であれば、アプローチする企業を選び、どの役職に接触するかなどを決められます。
しかしプル型の場合は、顧客の購買プロセスに合わせてアプローチしていくため、事前の調査やターゲットの選定が重要になります。
受け身になりがち
プッシュ型は積極的に営業をかけていくことになりますが、プル型では自分から営業をかけるのではなく顧客からの接触を待つことになります。
これにより、自社があまり認知されていない製品やサービスを扱っている場合、顧客からの問い合わせなどのアクションがすぐには発生しないため、今すぐ新規顧客を獲得したい場合は不向きの手法となります。
プッシュ型とプル型の手法とは
冒頭でも軽く触れましたが、プッシュ型とプル型の具体的な営業手法を見ていきましょう。
プッシュ型の営業手法
プッシュ型の具体的な営業手法は、顧客に電話をして担当者とアポをとる「テレアポ」や、相手企業に直接訪ねて営業をかける「飛び込み営業」が挙げられます。
どちらも企業リストに沿って順番にテレアポや飛び込み営業を実施していきます。
プル型の営業手法
プル型の営業手法は、上記で挙げた「展示会への出展」や「SNSの運用」以外では、メルマガやセミナーなどが挙げられます。
また、従来では電車広告や看板広告、街頭ポスターなども用いられていました。
しかしスマホやインターネットが広く使われるようになった現代では、TwitterやGoogleなどのインターネット上で広告を出したり企業アカウントの運用をすることが一般的になっています。
重要な点は、こちらの情報発信をみた顧客がアクションを起こすかどうかです。
したがって、情報発信をする際は自社製品やサービスに関する情報をただ単に伝えるのではなく、関心を寄せる人が行動を起こしたくなるようにデザインをすることが求められます。
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ここまでプッシュ型とプル型アプローチの良い点や悪い点などを見てきましたが、両者は「どちらの方が優れてる」「こちらを使うべき」といったものではありません。どちらもバランス良く用いて、状況や環境にあわせて使い分けていくべきです。
例えば、企業のホームページを作り込み、SEO対策をしながら情報発信をしてプル型のアプローチをすることで顧客がアクションを起こすのを待ちます。
それと同時並行で、企業リストに沿ってプッシュ型の営業を実践していきます。
こうすることで、両方のメリットを享受しつつ、デメリットを緩和させることが可能になり、最大限の利益を得られるかもしれません。
このように、どちらのメリット・デメリットも理解しつつ、バランス良く使い分けていくことで効果的な営業が可能になります。
まとめ
ここまで、プッシュ型とプル型アプローチの手法や特徴などを見てきました。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、よく理解した上でバランス良く活用していくことが、効果的な営業のポイントです。
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