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自己効力感とは?高め方や自己肯定感との違いを解説

突然ですが、下記のような疑問を感じていませんか?

  • 「自己効力感ってなに?」
  • 「自己肯定感とはどう違うの?」
  • 「どうすれば高められる?」

自己効力感とは、成果を出そうとする際にそれに必要な行動を「自分はできる」と信じることができ、実際に行動に移せる力のことです。ビジネスや人材育成においても重要であり、今さまざまな世界で注目されています。

本記事では、自己効力感について基本的な知識や高め方について解説していきます。

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自己効力感とは?

自己効力感は英語では「Self Efficacy」といい、人がある目標を達成したり成果を出すにあたって求められる行動を「自分ならできる」や「自分にはその力がある」と信じられることを指しています。

あなたには何か達成したいことや実現したい目標はあるでしょうか?

その達成したいことに対して「自分は目標達成のために必要な行動や意思決定をするだけの能力がある」と考えられるのであれば、あなたは自己効力感が高いと言えます。

簡単に言うなれば「自信」がわかりやすい表現となるでしょう。

しかし、自信には根拠や裏付けがなくても自分を信じられる誤った自信も含まれますが、自己効力感はハッキリとした根拠や裏付けがあって初めて成り立つ力です。

人が目標を達成する2つのステップ

人が目標を達成したり、仕事などで成果を出すためには2つのステップが必要になります。まず1つ目のステップは、「この目標に取り組んだらきっと成果がでる」という期待を持つこと。

そして2つ目は「自分ならこの目標を実現できるはず」という自分への期待です。

例えば、成功したら評価が上がる仕事があるとします。しかし、評価が上がるということはそれだけ難しく、成功率が低いということでもあるため、「評価が上がる」ということだけでは人はその仕事に取り組もうとしません。

そこで必要になるのが「自分ならこの仕事を成功させられる」という期待や自信です。

「自分ならできるはず」と思えて、初めて人は最初の一歩を踏み出すようになります。

この一歩を踏みだせるかどうかを分けるのが自己効力感であり、自己効力感が低いと人は「どうせ自分にはできない」と思い、行動を起こさなくなってしまいます。

したがって、人が何かに取り組むには高い自己効力感を持つ必要があるのです。

また、自己効力感があるほど優越感も高くなり、成果を出すために求められる行動をとりやすくなります。しかし、自己効力感が低くなると劣等感を感じやすくなるため、ビジネスシーンのみに限らず、人にはある程度の自己効力感が求められるでしょう。

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「自己効力感」を提唱したアルバート・バンデューラとは

自己効力感の発見者はスタンフォード大学教授であるカナダ人のアルバート・バンデューラ氏です。彼は社会的学習理論でも有名な心理学者で、アメリカ心理学会の会長も務めました。

彼が自己効力感を発見したきっかけは、「恐怖の克服」について研究していたときのことでした。様々な恐怖症を乗り越えた人々に聞き取り調査をした結果、その人達にある共通点がありました。

それは、恐怖症を乗り越えたことで「自分には困難を乗り越える力がある」や「自分は人生を変えられる」という自信を身につけられるようになったことでした。この調査がヒントになり、その後に高い自己効力感を持つ人の研究が進みました。

その結果、自己効力感が高い人は失敗したときや困難な状況に陥った際にも、立ち直りが早かったり、難関を乗り越える力が強い傾向にあることがわかったのです。

また、アルバート氏の名前が広く認知されるようになった社会的学習理論は、人は自分よりも秀でた人を真似することによって成長するという理論です。

この理論は「ボボ人形実験」により明らかになったもので、大人が人形に対して雑な扱いをする様子を子どもが見たら、子どもは人形をどのように扱うのかを検証した実験です。

実験の結果、子どもは自然と人形を雑に扱うようになることがわかり、これにより人間は周囲の人の行動から学んでいることが明らかになりました。

今でこそ当たり前のように感じますが、当時は、人間は自らの経験でしか学べないと信じられていたため、衝撃的な結果だったのです。

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自己効力感の重要性

自己効力感は近年、教育やビジネス、予防医学など実にさまざまな世界で注目されています。

なぜなら、自己効力感には下記のような要素があるからです。

  • その人自身の行動を変えるきっかけになる
  • その人自身の行動を確実に変える力がある

このような特徴が社会に知られるようになったため、さまざまな業界で用いられるようになりました。従来は、ある行動の必要性を感じても実際に行動を起こす人は少なかったですが、自己効力感を高く持つことで行動に変化を起こせると期待されています。

この「人の行動を変える」という効果に対して、注目が集まっているのです。実際、高い自己効力感を持つ人は「もっとできるはずだ」と感じるようになるため、よりチャレンジするようになります。

自己効力感と自己肯定感との違いとは

自己効力感と混同されがちな言葉に「自尊心」や「自己肯定感」がありますが、どのように違うのでしょうか?

解説してきた通り、自己効力感とはある目標や成果を出すことに対して「自分ならできる」と信じ、実際に行動できることです。

対して、自己肯定感や自尊心は、自分のことを尊重し、自分の価値を信じて自身を肯定できる力のことを指しています。例えば、あなたは何かに失敗した時に「こんなこともできないなんて自分はなんてダメなんだ…」と感じたことはありませんか?

このようなときは自己肯定感が低くなっている状態だと言えます。もし、自己肯定感が高ければ、もしミスをしたとしても「ミスくらい誰でもする。次からは気をつけよう」と考えることができます。

つまり自己肯定感とは、なにかに失敗しようと成功しようと「その成否に関わらず自分には価値がある」と信じられる力なのです。

無条件に自分の価値を信じることができなければ、常に何かに成功し続けたり何かを達成し続けたりという実績を作り続けなければなりません。

もちろん、そんなことは不可能です。

したがって、何があろうとありのままの自分を受け入れることができると、失敗を覚悟してでも挑戦できるようになりますし、どのような結果になっても動じずに受け入れることができるのです。

どちらも高く持つことが重要

このように、この2つは似てはいますが異なる力であり、どちらも重要な力です。

どちらかだけが高かったり低かったりすると、ある目標に対して「自分には無理だ」と感じたり、ちょっとした失敗で「やっぱり自分はダメだ」と挫折してモチベーションがなくなってしまうため、良い結果はでないでしょう。

したがって、自分を成長させ、より良い成果をあげるならば、どちらも高く持つことが重要です。

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自己効力感を構成する2つの要素

自己効力感を成り立たせている要素には、行動遂行の先行要因というものが存在します。

先行要因とは、行動に移す前の条件を指しており、ここではこのような先行要因を2つ解説します。

結果予期

結果予期とは、これまで体験したことや学んだ知識などの「過去」をもとに、ある行動をした際にどのような結果になるのかを考え、その予想に基づいて今後を推測することです。

例えば、あなたの部下である新入社員が、仕事で悩んでいる場合を考えてみましょう。

  • 新入社員が悩んでいることや直面している課題についてヒヤリングする
  • 新入社員に話させて自分で問題を考えさせる
  • 自分で解決策を思いつくように誘導する

このように、結果予期は自分の経験をもとにして考えることを指しています。

効力予期

効力予期は、ある成果を出すのに求められる行動を、自分が問題なく遂行できると信じられることを指しています。

例えば、先程と同様に新入社員が仕事で悩んでいる場合を考えてみましょう。

  • 言葉に出して課題を整理させる
  • 自分がアドバイスすることで、新入社員はまた意欲を持って仕事に取り組んでくれる
  • 自分は新入社員の課題の本質を引き出せる

というように自信を持てます。

自己効力感に影響を与える4つの刺激

アルバート氏は自己効力感に影響を与える刺激として4つの要素を挙げています。その4つの刺激を意識することで、適切な自己効力感を持つことができる、というものです。

それでは1つずつ解説していきます。

達成体験

自己効力感に最も強く影響する要因は、何かを達成する体験です。あなたは「やってみるまで達成できるかどうかわからない目標」を達成したことがないでしょうか?

例えば受験や資格試験、スポーツの試合などさまざまなものがありますが、こういったものを達成した経験は「自分には能力がある」や「自分ならできる」と信じる根拠となります。

代理体験

続いて影響を与えるのは、自分以外の人間が経験したことにより「自分にもできそうだ」と感じる代理体験です。

以前はずっとできないと思い込んでいたことでも、自分と似たような人がそれを楽々とやっているのを見たら「あの人でもできるなら自分にもできるはずだ」と感じますよね。

このような体験をすることで、自信を持つきっかけになりますが、あくまでもそれをしたのは他者であるため、根拠のない自信につながる可能性があることに注意しましょう。

社会的説明

誰かから褒められたり励まされること、説得されることも自己効力感を上げる要因です。

自分では達成できる自信がないことに対して、自分が信じている人が「あなたならできるよ」や「君なら絶対できる」と背中を押してくれることで「自分ならできるかもしれない」と信じられるようになります。

生理的感情的状態

そして最後の要因が、脈拍や気分の高揚などの生理的な要因です。例えば、試験当日はドキドキして心臓が高鳴り、不安感が増して自信を損なってしまいます。しかし、そのような場面において緊張しすぎることがなければ、「動じない自分」に対して自信が生まれます。

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自己効力感が高いことで得られるメリット

自己効力感が高いことで、挑戦しやすくなるため成長しやすくなるというメリットがあります。さらに、何度も挑戦をすることで達成することも容易になり、さらに自己効力感があがるという好循環を生み出すことも可能です。

また、挑戦に失敗したとしてもクヨクヨと落ち込んで引きずることがなくなり、失敗の中から反省点を見出し、次の挑戦を成功させるための教訓を学びます。

他にも、

  • 行動力が上がる
  • 新しいことに対して前向きになる
  • ポジティブな発言が増える
  • 学ぶことへの意欲が高まる

というメリットがあります。

自己効力感が低い場合

一方で自己効力感が低い場合は、挑戦や行動を起こすことが億劫になり、成長する機会を逃してしまいます。

「こういうことがしてみたい」と目標ができてもすぐに「自分には無理だ」や「どうせ失敗する」と考えて、試す前に諦めてしまうのです。

自己効力感を高める方法

自己効力感を高めるなら、先程解説した4つの要因に基づいた方法を用いることが重要です。

達成経験による方法

まず最も効果的なのは、達成経験を何度もすることです。

しかし、このとき、いきなり壮大な目標を達成しようとしてはいけません。どんなに小さな目標でも良いので、まずは達成経験を増やして「自分にもできる」という感覚を育んでいきましょう。

代理体験による方法

誰かの行動を見て、自分のなかに落とし込んでいくことで自信を身につける方法です。スポーツ選手が行っているイメージトレーニングも代理体験の一種といえます。

大切なのは、成功した結果に注目するのではなく、そのプロセスに注目することです。

成功だけを見ていても根拠のない自信につながってしまう可能性があるので、その成果を出すために何をしてきたのかを見る必要があります。

社会的説得による方法

社会的説得では、他者の言葉や説得をもとに自己効力感を上げていきます。ですが、他者が自分に何を言うかや自分をどのように評価するのかは、自分ではコントロールできないため、自分の受け取り方を変えることが重要です。

例えば、失敗して上司に叱られた際は「自分の成長のために言ってくれている」と捉えることで、自己効力感を高められます。

まとめ

自己効力感は「自分ならできる」と考えることで、自信を持って行動できるようになります。

しかし、低いままだと挑戦することが減り、挑戦したとしてもうまくいかない可能性が高くなります。さらに、失敗した際に挫折することも増えるでしょう。

したがって、自己効力感を高く持つことが成果を出すためには不可欠です。とはいえ、根拠のない自信は自己効力感とはまた別であるため、気をつけなければなりません。

自分や部下のマネジメントをするには、自分が自分をどのように認識しているのかを明らかにして、適切に管理していく必要があります。

少しでも自己効力感を高めるためにこの記事が役に立てば幸いです。

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