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ビジネスや対人関係において第一印象は大切です。
なぜ一流のビジネスマンは共通して「身だしなみ」が整っているのか?それは、印象を決める「ハロー効果」を活用しているからです。
「ハロー効果」は、ビジネス・対人関係など様々なシーンで利用できる心理現象です。
本記事では、ハロー効果の概要からメリットやデメリットまで、わかりやすく解説します。
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ハロー効果とは何か
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「ハロー」は英語で「halo」と書き、天使・聖人の頭上に描かれている光輪のことを意味しますが「ハロー効果」は上記が転じ、対象を歪めてしまうバイアスのことを意味するようになりました。
人は対象の著しく目立った側面の良い・悪い点をみて人の印象を即決する傾向があります。
例えば、第一印象が品行方正で優れていたから採用したものの、実際は仕事ができない人だったという経験は採用担当者なら一度はあることでしょう。
上記の例も、第一印象に引っ張られてその他の要素を歪めて評価してしまった一例といえます。
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ハロー効果はどのようなシーンに活用されるのでしょうか。
おおまかに分けると以下3つの利用法があります。
- ビジネスに利用できる
- 恋愛に利用できる
- マーケティングに利用できる
それぞれわかりやすく解説します。
ハロー効果はビジネスに利用できる
ハロー効果はビジネスのシーンで利用されています。
具体的な例としては、会社のホームページです。例えば、著名人・有名人を起用したホームページでは、その人の持つ印象や人柄が連想されます。起用された人物の目立った特徴が連想され、会社のイメージアップにつながるのです。
また、「色」をデザインすることで会社の持つ印象を変えることも可能です。
色はイメージを連想させる効果があります。
例えば青色をメインカラーにすることで「誠実さ・信頼感」を、灰色を掛け合わせることで「洗練」のイメージをプラスできます。
このように、ハロー効果はビジネスにおいて「会社の価値」を上げる手段として活用できます。
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ハロー効果は恋愛に利用できる
ハロー効果は恋愛のシーンでも利用できます。
恋愛において「第一印象」は重要な要素です。
ハロー効果を活用して目立った特徴を高めることで、「好感度」を上げることができます。
デートで女性から男性をみた場合、男性の気遣いを感じる言動があれば「優しい」印象を受けます。
さらに、洗練された服装であれば「センスのある優しい人」の印象になり、より好感度が高まります。
ハロー効果で良い特徴の側面を際立たせることで、全体的な好感度を高めることができるでしょう。
ただし、例えば「シャツがしわだらけ」のようなマイナス要素がハロー効果でイメージづけられてしまうというデメリットも起こりうるので、注意しましょう。
ハロー効果はマーケティングに利用できる
マーケティングでもハロー効果が利用されています。
具体的な例として、イメージしやすいのが「有名人・芸能人」を起用したテレビのCMです。
例えば、スポーツドリンクのCMでは、有名なスポーツ選手をよく見かけます。
- 憧れの選手が飲んでるから飲みたい
- スポーツ選手が飲んでいるから水分補給に効果ありそう
CMを見て、スポーツ選手のイメージから上記を連想した視聴者は、「購入したい」という気持ちになります。
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ハロー効果は、「良い・悪い」の目立った特徴を捉え、最終的な評価を歪めてしまうとも言えます。ハロー効果は以下の2つに分けられます。
- ポジティブ・ハロー効果
- ネガティブ・ハロー効果
この2つの効果について解説します。
ポジティブ・ハロー効果
ポジティブ・ハロー効果とは、対象の目立った「良い」特徴を捉え、実際より高い評価をすることです。
具体的には、元芸能人が立候補する選挙活動にポジティブ・ハロー効果が見られます。
- 国の将来を熱く語っていて明るい未来を想像できる。
- テレビに出ている有名人だからなんか凄そう。
演説やテレビでその芸能人をみると私たちは上記のように感じます。
したがって、過去のアドバンテージをうまくハロー効果に役立てられます。
ネガティブ・ハロー効果
ネガティブ・ハロー効果とは、悪い特徴をその人の全体評価として捉えてしまい、実際の実力よりも低く評価してしまうことです。
例えば、実際には能力も高くきっちりと仕事に取り組む人であっても、だらしない服装の人はどうみられるでしょうか。
- 仕事の期限を守ってくれ無さそう。
- 能力が低く、気が利かなさそう。
このように、ネガティブ・ハロー効果によって悪いイメージがついてしまいます。
どれほど日常の評価が高くても、悪い特徴が先行し、実際より評価が低くなってしまうことはよくあります。ビジネスの場でもこうしたネガティブ・ハロー効果が発生する可能性があるので、注意が必要です。
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専門家
ハロー効果の他にも似た効果があり、効果を理解していないと誤解してしまう可能性があります。
似たような効果の例として、以下の2つの効果が挙げられます。
- ピグマリオン効果
- ホーソン効果
それぞれ効果を解説します。
ピグマリオン効果
ピグマリオン効果とは、他者からの期待を受けることで仕事・学習の成果を高まる効果です。
例えば、職場で上司が部下を熱心に指導する場面を考えてみましょう。
上司が熱心に指導することで、部下は期待されていると意識します。期待をかけられた部下は、上司の期待に答えようと一生懸命になります。結果として、上司の熱心な指導と部下の頑張りが大きな成果につながります。
上記のように、期待されていると感じることで一層の成長が見込まれるのがピグマリオン効果です。
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ホーソン効果
ホーソン効果とは、「他者からの注目」を浴びると結果を出せるようになる効果を言います。
例えば、大規模なプロジェクトに任命された社員のケースです。
大規模プロジェクトには関わる人も多く、社員全体からの注目を集められる仕事です。注目されると結果を出そうという意志が働き、努力をしプロジェクトを完遂しようとするのです。
ピグマリオン効果同様に、ホーソン効果も他者からの視線がきっかけとなっています。
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経営者
ハロー効果には様々なメリットがあります。
分かりやすい例として、下記の3つの内容をご紹介いたします。
- 高評価を受けやすい
- 信頼されやすくなる
- 悪いイメージを払拭でき
高評価を受けやすい
ハロー効果には、「他の人にはない才能をアピールすると高評価を得られる」というメリットがあります。
お笑い芸人が本業以外にマルチな才能を発揮する場面を考えてみましょう。
お笑いという本業以外にも、ドラマの俳優・映画監督を多彩な才能をアピールすることで、その能力だけでなく、その人全体への高評価を得られます。ハロー効果によって、アピールした以上の高評価を得られるのも特徴です。
信頼されやすくなる
親しみやすく安心感のある人柄を印象づけると信頼されやすくなります。
チーム作業で、円滑にやりとりを行い良い雰囲気を作りだす人物は、職場において重宝される人材です。
コミュニケーション能力・親身な人柄をアピールすることで、印象を高めることができ、結果として信頼を得られるのもハロー効果の特徴です。
悪いイメージを払拭できる
ふとした行動で悪いイメージを払拭できます。初対面の場面だけでなく何度か見かけた相手でもイメージを払拭できることもあります。
例えば、社内で、厳格な上司の例を考えてみましょう。電話で子供との会話で、優しい表情で話している姿を見た瞬間に、「子供と良い関係を築けているから、実は優しい人では?」と見た人の印象と変えることが出来ます。
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成長のカギは、共通言語・役割分担・評価制度|ガーディアン・アドバイザーズ株式会社 代表取締役社長 佐藤 創 氏ハロー効果のデメリット:評価エラーが発生する
ハロー効果は良いイメージにも悪いイメージにも引っ張られるものです。それゆえ、評価が歪めて判断される可能性があります。すると、人員采配などのエラーが発生する可能性があります。
例えば、「良い人」というイメージだけで仕事のプロジェクトを任せてしまうと、プロジェクトがうまく進まない可能性があります。
人柄の印象が職務と合致するかはまた別の問題だからです。
評価エラーの対策としては、目立った特徴を切り離して、冷静かつ客観的に考えることが大切です。
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人事評価におけるさまざまなエラー
ハロー効果による評価エラーは人事評価で起こりやすい事象です。ここでは、陥りやすい人事評価エラーをいくつか紹介します。
- 逆算化傾向
- 中心傾向/極端化傾向
- 寛大化傾向/厳格化傾向
- 論理誤差
逆算化傾向
逆算化傾向とは、 評価結果から逆算して、辻褄を合わせてしまう傾向です。特に人事選考者が陥りやすい人事評価エラーの一つとなります。
例えば、「この人を採用したい」と思った際に、採用ラインにうまく評価を調整してしまうのが逆算化傾向です。最終結果から逆算して評価を調整するため、実際の評価と一致しなくなる可能性があります。
発生する要因として、参考者の心理は、下記のパターンが考えられます。
- 感覚的に評価したい
- 最終評価さえ間違えなければいい
こういった参考者の心理が働き、逆算傾向から実態とともなわない評価に陥りやすくなります。
中心傾向/極端化傾向
中心傾向とは、5段階評価とした場合、評価が真ん中に寄り「ふつう」評価が多くなることです。中心傾向は以下の心情から発生します。
- 部下からの批判やクレームを避けたい
- 評価する人材を知っているつもりで評価している
- 評価者の自信なさが評価に現れてしまう
一方で、極端化傾向は評価が「最高・最低」に偏ることを指します。極端傾向が発生する要因は、評価対象者それぞれに評価差を付けようとする意識が原因です。
どちらも正確な評価ができなくなるので、注意をする必要があります。
寛大化傾向/厳格化傾向
寛大化傾向とは、評価を高く評価してしまい評価が甘くなってしまうことです。
発生する要因として、評価者の心理は、下記のパターンが考えられます。
- 評価対象者の反発を恐れてしまう
- 評価者の自信なさが評価に現れてしまう
- 評価対象者に気遣いすぎてしまう
一方で、厳格化傾向は評価者への厳しい評価から発生するものです。評価者の完璧主義による場合や、ネガティブ・ハロー効果である対象者への低い評価から発生します。
実態にともなわない寛大・厳格評価なため、対象者の成長を止めてしまう可能性があります。
論理誤差
論理誤差とは、評価者が「おそらくこうだ」と評価対象者の事実確認せず、推測で評価することです。
発生する要因として、評価者の心理は、下記のパターンが考えられます。
- 高学歴だから分かって当然だ
- 体育大学卒だから忍耐力があるはずだ
- 営業成績が良いから管理職に向いているはずだ
このように、評価者が推測で評価してしまうことから起こります。
また、現場に来ない上司が、現場で働いている作業員を評価したとします。
実際に現場の状況に詳しくないので、推測での判断になりがちです。
推測での思い込み・決めつけ評価は避けたいものです。
アンカリング
アンカリングとは印象的な最初の条件が元となり、その後の決定に影響を及ぼす現象のことです。例えば、一番最初に見た人事採用者の報告を読み「この人は優れた人なんだ」という思い込みが発生し、その後適切な判断ができなくなります。
したがって、最初の報告に囚われず、公平な目で判断をすることが必要とされます。
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ヒューリスティック分析とは?意味や評価手順を解説ハロー効果などを防ぐ正当な評価をするためには
ハロー効果は目立った特徴から判断するため、悪い面にも作用する現象です。
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- 360°評価を利用する
- 顧客に評価シートを記入してもらう
- コンピテンシー評価を取り入れる
360°評価を利用する
360度評価とは、多角的に評価する制度です。
評価対象者に対して、同僚・上司・社外の顧客など、さまざまな人物が評価をします。
評価者のみの評価制度と比べ、さまざまな立場の人物が評価することから、公平な評価を得られやすくなります。公平な判断で客観的な情報を得ることで、ハロー効果から発生する評価エラーの対策となります。
360度評価を取り入れることは、ハロー効果から発生する評価エラーの対策の手段として有効といえるでしょう。
顧客に評価シートを記入してもらう
顧客に評価シートを記入してもらうことも、人事評価の一つとして考えられます。
評価者はハロー効果により、自社の人事を客観的に判断できない可能性があるためです。
また、社外の顧客からの評価を人事評価に取り入れることで、顧客満足度を向上させるきっかけともなります。これは人事のみならず、会社の成長に繋がるでしょう。
顧客という社外からの評価・情報により、自社の評価を客観視できるため、評価エラーを防止する正当な手段といえます。
コンピテンシー評価を取り入れる
コンピテンシーは、優秀な成果を出している人に共通してみられる行動特性です。
行動特性の中には、成果を出すための、考え方・戦略・目標達成などが含まれます。
優秀な人の行動特性を観察・分析することで「優秀な人材に共通するもの」が明確になります。明確な基準を用い、参考にすることで、評価者の評価基準のブレを小さくすることができます。
優秀な人材のコンピラシー評価を用いることは、結果として会社の求める成長につながるため、正当な評価手段といえます。
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行動経済学とヒューリスティックについて5分で解説!ハロー効果が実際に使われている事例
現代社会において、ハロー効果はどのように使われているのでしょうか?
ハロー効果が実際に使われている事例を紹介いたします。
- ソフトバンクのCM
- 森永製菓株式会社の例
ソフトバンク株式会社のCM
ソフトバンクのCMでは可愛らしい「動物の白い犬」を起用しています。
この、「動物」はハロー効果として利用できます。
動物は、ハロー効果が与えるといわれる3つの「3B」に含まるからです。
ハロー効果の3Bとは、下記の内容になります。
- Beauty(美しい)
- Baby(赤ちゃん)
- Beast(動物)
3Bの「美しい」の中には、容姿以外にも「美しい笑顔」の表現が含まれます。
「赤ちゃん」や「動物」はかわいい、癒されるといった印象を感じます。
CMの流れをイメージすると、「動物」である白い犬のお父さんと会話している家族が「美しい笑顔」で微笑ましい展開を思い浮かべると思います。
ソフトバンクのCMは、ハロー効果の「3B」を最大に活用したCMだと考えられるでしょう。
森永製菓株式会社の例
森永製菓は「芸能人を起用」した広告でイメージアップをはかっていました。
例えば2011年のチョコボールのCMでは、当時子供に人気のお笑い芸人「はんにゃ」を起用しました。子供に人気のお笑い芸人が宣伝に携わることで、商品に親しみやすくなります。
狙った年齢層にウケる、認知度の高い有名人を起用することで、購買意欲を高めるのもハロー効果といえるでしょう。
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D2Cとは?メーカーが直接市場に参入するメリット・デメリットを分かりやすく解説!まとめ ハロー効果について
ハロー効果は目立った特徴から評価に影響を及ぼすものです。良い・悪いに関わらず作用する効果であり、ビジネス、マーケティング、人事など様々なシーンで活用が可能です。
ハロー効果を理解してうまく活用することで、会社のイメージを良い印象に変えることができます。評価者としてはハロー効果に引っ張られないように、そしてアピールの際にはうまく活用するというように、その特性をしっかり理解すれば、良い効果が得られるでしょう。
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