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副業・複業のメリット・デメリットとは?副業や複業の違いについて

昨年、厚生労働省が「働き方改革」として、正社員の副業を推奨するガイドライン案が出たことで、会社内での副業や複業をする方が増えてきたと感じている方もいると思います。

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ところで、副業や複業の違いについて、正しく理解できていますでしょうか。

萩野進介・大宮冬洋(2007)「ダブルキャリア 新しい生き方の提案」によると、副業者とは「企業に雇用されている身でありながら、他の仕事を持つ人」を指し、「雇用以外のの自営業、家業も含まれる」とされています。

 

さらに萩野進介・大宮冬洋「ダブルキャリア 新しい生き方の提案」(2007)の中では、「副業にはキャリアに資する面と、お金を稼ぐ手段としての面と二つの側面がある」としています。
前者においては「二足のわらじを履く」「兼業という言葉がふさわしい」と記し、「ダブルキャリア」との記載も本書の中ではされています。

 

広辞苑で「複」を調べると、「単一でないこと」との表記がされ、「副」は「おまけ」との表示がされます。
したがって、副業は本業以外のおまけとして、メイン―サブの関係があるものであり、複業はダブルキャリアや兼業に当たる言葉であるとわかります。

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副業・複業のメリット・デメリット

ベンチャー企業や副業やIT企業の中には副業を許可するだけでなく、副業を推奨する企業も出ています。公務員を中心に副業禁止の働き方も残っていますが、副業解禁によって副業者は萩野進介・大宮冬洋「ダブルキャリア 新しい生き方の提案」(2007)によると28人に1人の割合とされています。

 

副業や複業によって、懸念される問題は、企業の重要な機密情報や守秘義務などが社外に漏えいされることや過剰労働によって業務効率や生産性の低下などでしょう。

 

厚生労働省が2005年に公表した「雇用者の副業に関する調査研究」において、副業の禁止理由は「業務に専念してほしい(78.1%)」「業務に悪影響を及ぼすから(49.3%)」「企業の秩序を乱すから(40.9%)」「業務上の秘密を保持したいから(27.8%)」の順となっています。

 

具体的なメリットにおいては「賃金低下の補助(12.1%)」「視野の拡大・能力開発(8.6%)」「転職や再就職(5.6%)」「社会貢献(5.0%)」「特にない(78.5%)」と、なっており、企業側において従業員の副業は特に会社としてのメリットがないために禁止していたことがデータ上から伺えます。

 

デメリットにおいては、「疲労による業務効率低下(90.5%)」「残業・休日出勤ができない(49.7%)」「組織規律の乱れ(58.3%)」「社内情報の漏洩(34.9%)」「人材の流出(23.5%)」となっています。このように副業に対してデメリットや懸念事項が企業側として多いと考えられていますが、実際には副業を許可してプラスになる会社もあります。

 

代表例としては、リクルートがあります。萩野進介・大宮冬洋「ダブルキャリア 新しい生き方の提案」(2007)の具体例としては、「リクルートには視野を広げるために社外の人との機会を持つようにと呼びかけがあり、社外での公演は、勤務時間中でも自由で、新聞や雑誌への執筆、テレビ出演なども本人や会社にとってプラスとの考えがあること」を明らかにしています。

 

その風土によって、「結婚情報誌「ゼクシィ」や無料クーポン誌「ホットペッパー」、無料情報誌「R25」などは、従業員がやりたい新規事業のアイディアを考え、そのためのプランを練り、実現化した」ことなどが記されています。

 

このように本業以外に、社内で各々が自由にアイディアを出し、企画と実行を続ける副業によって収益性のある新規事業の確立をし、企業サイドとしても大いにメリットが存在しています。リクルートの例は、複業であり、各々が情熱をもって行うことで収益の増加や新規事業の確立などのイノベーションが起こっています。

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複業で夢を形にし、ストレス軽減へ

IT企業に勤める40代男性のTさんは、現在の会社に勤めて15年近く経つ中堅どころの社員です。ITの仕事は嫌いではないものの、特別コレと言うようなやりがいを見出すことができずに悶々とした気持ちを抱えてカウンセリングにお越しになりました。

 

カウンセリングで話を深堀する中で、淡々と機会に向かって打ち込むだけの仕事には製造のライン作業のように感じて、自分でなくても変わりがいくらでもいるように感じ、存在意義を見出せず、やりがいが感じられないことが明らかになりました。特に画面に向かってひたすら入力する作業には、機械的な虚しさが心の中で伴い、人間性を損なっている感覚すら感じられていました。

 

「自分だけにしかできないものを作りたい」「目に見えて成し遂げられるものを作りたい」という本来の欲求に気づき、実際に手に取ることができ、独自性や創造性を活かせるモノづくりがやりたいことであると気づきます。好きなことを仕事にしたい気持ちが時間とともに強まっていきました。しかし40代で一から転職する勇気が持てず、かといって起業するのも希望とは異なりました。

 

そこで休日の日に職人技術であるモノづくりの世界へと飛びこみ、スキルを磨くために見習いとして週1回働くことを決めます。色付けの技術などは手先の器用さが求められ、細やかな製造過程には、販売できるまでの技術にしなくてはならず、精神力もいりました。

 

複業することで疲労は溜まりましたが、従来よりやりたいと思っていたことを働きながら学ぶことができ、憂鬱とした表情から本来の生気が戻ってきました。

 

それから数か月が経つ頃には、複業によって憧れていた夢の仕事をひよっこながらも仕事ができるようになり、やりがいができました。言われたことだけをこなす仕事ではなく、創造的にモノを作り上げていく過程は楽しさがあり、ストレス軽減にもなっていると言います。今後も収入源であるITの仕事を精いっぱいやりつつ、夢の仕事であるモノづくりも並行して続けていくつもりのようです。

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副業で一人ブラック企業に

副業や複業は個人にとっても成長につながったり、ストレス軽減につながったり、やりたいを形にしたりするプラスの側面もあります。一方で注意点として一人ブラック企業のようになる恐れもあります。

 

30代男性のNさんは平日はフルタイムで事務職として働いたのち、アフター6はライターや覆面調査員、簡易な内職や事務代行などの仕事をしています。残業が少ない会社であることもあり、仕事が終わると毎日副業を行います。

 

本業での収入では十分に暮らしていけないことが理由の1つにあります。本業での収入がほぼ横ばいであり、ボーナスもほとんどありません。将来的に年金も十分に出ないことをニュースで知り、このまま会社員として暮らしていくことに強い経済的な不安を抱いたからです。

 

転職も視野に入れましたが、好条件の仕事がありませんでした。アルバイトの掛け持ちも検討しましたが、日中仕事した後に夜も働く生活を長期間続けられる自信がなく断念しました。様々な検討をする中で、自分の人生をコントロールしたいとの思いから、将来的な独立を試みます。その足掛かりとして、まずはさまざまな副業に挑戦しています。

 

代筆やコラム記事の執筆などのライターの案件だけでなく、Excelの代理入力やテープ起こしなどの事務代行など幅広く受けることで、収入を増やしています。

 

Nさんの労働時間は多い日だと1日12時間を超えます。土日の休みの日も副業の調べごとや執筆、入力に追われ、休む時間がありません。当然ながら、疲労は日増しに蓄積し、顔だけでなく雰囲気全体から疲れた感覚がひしひしと伝わってきます。睡眠時間も1日5時間を割ることもあり、明らかな睡眠不足です。しかし、数年以内に本業以上の収入を得て、自由な生活を得るために努力中しています。

 

本業の会社自体は残業も月に10時間未満の会社であるものの、副業による労働時間の多さから体調不良や覇気のなさなどをもたらし、悪影響が出るのも時間の問題でしょう。企業自体は健全であったとしても、副業によって一人ブラック企業となる危険性があると言えます。

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まとめ

時代の流れとともに、副業や複業を許可する企業も増え、専業を禁止する会社さえも出てきています。
働き方が多様化することで、個人の成長をもたらしたり、夢の仕事に携わることができたりなどのプラスの側面もあります。
在宅で仕事をすることで従業員の通勤時間をゼロにしてストレス軽減になったり、企業のコスト削減ができたりなどもします。

 

一方で、副業や複業によって、労働時間の増加や体調不良をもたらす一人ブラック企業の恐れや情報漏えいの危険性などもあります。
働き方改革は企業においても個人においても、まだ大きな課題が残されていると言えるでしょう。

 

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参照

萩野進介・大宮冬洋「ダブルキャリア 新しい生き方の提案」(2007)生活人新書

 

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